2025年10月21日、日本政治史上初となる女性首相として高市早苗氏が就任し、高市内閣が発足した。
「決断と前進」「強い日本をつくる」というメッセージを掲げた新政権は、発足直後から高い支持率を維持し、政界に新たな緊張感をもたらしている。
本稿では、まずは発足から3ヶ月間の政権運営を振り返る。
特に、経済・外交・安全保障の具体的な動きを軸に、高市内閣の実像を整理し、総合的に評価してみたい。
高市内閣発足の背景と初動 ~内閣発足と基本方針の提示~
内閣総理大臣就任会見で高市首相は、
「物価高への対応」「経済の再成長」「現実的な安全保障」
を政権運営の三本柱として掲げ、早期に具体策を示す姿勢を強調した。
経済政策|物価高と成長戦略 ~生活支援と成長投資の両立を掲げる姿勢~
発足直後から最大の焦点となったのは、生活者を直撃している物価高への対応だ。
高市首相は、
エネルギー価格高騰への追加対策
中小企業の賃上げ支援
税制面を含む可処分所得の下支え
について、年内に方向性を示す──と明言した。
だが、短期間で生活実感が改善したと感じる国民は限られており、「方向性は理解できるが効果が見えにくい」という指摘も多い。成長分野への投資を重視する姿勢についても、成果が出るまでには時間を要するとの見方が一般的だ。
高い支持率と政策に対する期待の広がり
11月に入っても内閣支持率は70%前後を維持した。
特に「リーダーシップが明確」「決断が早い」といった評価が目立ち、首相個人への支持が政権を支える構図が鮮明になっていく。
この時期、政府内では補正予算や来年度予算編成に向けた議論が本格化し、
成長分野(半導体、AI、防衛関連産業)への重点投資
地方経済を意識したインフラ・デジタル施策
賃上げを促す企業支援策
などが検討課題として浮上した。
一方で、「物価高への実感ある対策がまだ見えにくい」との声も根強く、国民の間では期待と不安が同時に存在する局面でもあった。
外交政策|現実路線を意識した関係構築
日米関係
高市政権は、日米同盟を日本外交の基軸と位置づける点を明確にしている。
首相自身も「抑止力の信頼性を高めることが、日本の平和に直結する」と繰り返し発言しており、防衛・経済の両面で米国との連携強化を重視する姿勢がうかがえる。
近隣外交(韓国・中国)
韓国との関係では、感情的対立を避けつつ、国益を前面に出す「現実的対話」を志向。
首脳会談や外相レベルでの意思疎通を重ねる姿勢が示された。
中国に対しては、経済関係の重要性を認めながらも、安全保障や台湾海峡情勢については「力による現状変更を認めない」と明確なスタンスを取っている。
安全保障政策|“高市カラー”が最も色濃く出た分野
高市内閣で最も一貫性が見られるのが、安全保障政策だ。
防衛力整備を「抑止のための現実策」と位置づける
反撃能力を含む防衛体制の必要性を明言
防衛産業を「国家基盤」と捉え、育成の重要性を強調
これらは、従来から高市氏が主張してきた考え方と軌を一にする。
外国人政策や、いわゆる「台湾有事」発言についても賛否は分かれるが、「何を守り、どこまで備えるのか」を言語化している点は、過去の政権と比べても特徴的だ。
連立再編と政局対応
12月にかけて、与党内外の動きは一段と慌ただしくなった。
公明党との関係見直しや、日本維新の会との協力関係強化など、議会運営を巡る調整が続いた。
少数与党に近い状況の中で、
法案成立に向けた柔軟な交渉
政策ごとの現実的な妥協
が求められ、政権運営の難易度は確実に上がった。
解散を見据えた「次の一手」
年明け以降、政権内では衆議院解散を視野に入れた動きが加速する。
これを受け、野党では主要2党(立憲民主党・公明党)による新党「中道改革連合」が結成された。政界再編の可能性を含む動きとして、今後の選挙戦略に影響を与えるとみられる。
折しも本日1月19日、高市首相は1月23日に衆議院を解散すると表明した。
高い内閣支持率を背景に、「国民に信を問う」タイミングを探る構えだ。
これは単なる選挙戦略ではなく、
経済政策の実行力
安全保障路線への評価
新しい政治スタイルへの支持
を一括して問う選択とも言える。
総合評価──100点満点で見る高市内閣
政策方向・明確さ:18/25点 経済・物価対策や安全保障の方向性は明確。ただし効果の実感には個人差がある。
内閣支持率:20/20点 発足から3ヶ月間、高水準を維持。特に若年層の支持が目立つ。
政局対応力:17/20点 連立再編を比較的迅速に処理し、議会運営で一定の手腕を発揮。
外交手腕:13/15点 韓国首脳との協議など積極的な動き。ただし大きな成果はこれから。
党内・政党基盤:12/20点 自民党支持率は伸び悩み、解散に踏み切るリスクも含め評価は中程度。
総合得点:80点/100点
※『月刊SLEO』独自の調査・評価による
まとめ|3ヶ月の総括
高市内閣は歴史的なスタートを切り、高い支持率を背景に政局を乗り切ってきた。
一方で、物価高対策や経済政策について国民が実感する成果はまだ十分とは言えず、今後の総選挙や予算審議が政権の真価を問う局面となるだろう。
内閣支持率が高水準で推移する一方、自民党支持率そのものは伸び悩んでいるとの調査もある。
その点は、政権の安定性という観点で注意すべきポイントと言える。
連立再編や政党支持率の変動が続く中、内閣支持率の高さを与党全体の支持につなげられるかが大きな課題だ。
外交面でも一定の評価はあるものの、具体的成果の積み重ねはこれからである。
総評としては、内閣発足3ヶ月で80点。
安定したスタートだった一方、今後の政策実行力と総選挙の結果が、最終的な評価を左右することになるだろう。
(四谷)
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